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小児の眼疾患 第1回 小児の視力の変遷


株式会社JMDCではBIG DATA for CHILDRENの活動の一環として、小児のデータ分析に取り組んでいます。今回はその中でも、小児の視力の実態調査にフォーカスしました。

 

具体的には、文部科学省の学校保健統計調査と、JMDCの保険者データベースを用いて、小学生、中学生、高校生における視力の実態を調査し、その結果をまとめてみました。視力にまつわる記事は2回の連載予定です。今回はその第1弾として、視力の実態の中でも「近視」に着目してご紹介します。

本記事での考察は、JMDC独自によるものです。作成者のバイアスが含まれる点にはご留意ください。


この記事は、1979~2021年の学校保健統計調査から得られた小・中・高校生のデータを参照して作成しました。以下の記載は、裸眼視力の低い方の眼が1.0未満の者を近視としています。

最初に、近視の現状を把握するため、全国の小学生、中学生、高校生別に、近視の割合を年次推移で調査しました。観測が開始された1979年から2021年までのデータを見てみると、小・中・高全ての年代で、特に中学生、高校生において、裸眼視力1.0未満の割合が増加していました。

小学生に目を向けると、1979年では約17.2%であったのが、20年後の1999年には約25.8%、2019年には約34.6%で、最新データとなる2021年では36.9%でした。

同様に中学生では、1979年では約35.2%であったのが、20年後の1999年には約49.7%、2019年には約57.5%と半数を超し、2021年では約60.1%でした。

高校生ではこの数値は更に上がり、1979年時点で既に約53.0%であったのが、20年後の1999年には約63.3%、2019年には約67.6%、2021年ではやや下がって約64.4%でした。


次に、裸眼視力0.3未満にも目を向けてみましょう。小学生、中学生、高校生のすべてで、裸眼視力0.3未満の割合が増加していました。

小学生では、1979年では約2.7%であったのが、20年後の1999年には約5.7%、2019年には約9.4%で、2021年では約10.7%と、1割を超えました。

中学生では、1979年では約13.0%であったのが、20年後の1999年には約22.1%、2019年には約27.1%、2021年では約28.2%でした。

高校生ではこの数値は更に上がり、1979年時点で既に約26.3%であったのが、20年後の1999年には約35.4%、2019年には約39.0%、2021年では裸眼視力1.0未満と同様、やや下がって約33.2%でした。

高校生では、1999年をピーク(約30.0%)に裸眼視力0.3未満の割合が下がり、2010年を底(約25.9%)として、再び上昇していることが分かります。このような結果になった理由について、健診制度の変遷などの面から調べてみたものの、説得力のある理由には辿りつくことができませんでした。読者の方々で理由をご存知の方、何かアイデアがある方がいらしたら是非ともご教示いただけますと幸いです。


次に小学生の裸眼視力0.3未満の児童のグラフを用いて、その割合の上昇の理由を独自に考察してみました。視力低下に関係のあるとされるゲームやテレビ、タブレット、スマートフォンの普及の時期を書き込んだものが下記の表です。

このグラフをみると、急上昇と時を同じくしてそのきっかけとも考えられる出来事が3つありました。それが、ファミリーコンピュータなどの家庭用ゲーム機の普及、スマートフォンの販売開始、そしてコロナ禍でのオンライン授業の普及です。時代の移り変わりとともにスクリーン画面を見る児童が増えたことが、裸眼視力0.3未満の割合の増加に関連したということも考えられました。


最後に都市階級別に、裸眼視力1.0未満の者に占める各重症度の割合の変化についてお示しします。都市階級は学校の所在地により分類されています。大都市は「政令指定都市・特別区」、中都市は「人口15万人以上の都市(政令指定都市・特別区を除く)」、小都市は「人口15万人未満の都市」、町村は「町村」にある学校を指します。

観察を開始した2006年度と2020年度とを比較しますと、冒頭にお示しした折れ線グラフのとおり、対象者全体に占める裸眼視力1.0未満の者の割合は一貫して増加傾向がみられましたが、その内訳をみてみると、視力0.7~1.0未満の軽度の層と、視力0.3~0.7未満の中等度の層は、小学生・中学生・高校生のすべてで、都市階級を問わず減少しています。一方で、視力0.3未満の重度の層はすべての年代で、いずれの都市階級でも増加していますので、特に重度者の割合が増加していることがうかがわれました。

中でも視力0.3未満の重度者が占める割合の変化を見てみると、小学生では、都市階級にはよらずおおむね5%前後の増加でした。中学生では、中都市(+4.5%)・小都市(+4.6%)での増加が、大都市(+1.3%)・町村(+0.9%)に比べて顕著な結果となった一方で、高校生では、中都市(+10%)、続いて町村(+6.8%)で増加が大きくなっています。



いかがでしたでしょうか。

小学生・中学生・高校生を対象とする、1979年と2021年を比較した裸眼の1.0未満、0.3未満は、どちらもその割合が上昇していました。

小学生の裸眼視力0.3未満の児童が増えたタイミングを考察してみると、家庭用ゲーム機の普及、スマートフォンの販売開始、そしてコロナ禍でのオンライン授業の普及と重なっていることから、これらの出来事と小学生の視力低下の関連について、他のデータからも考察を深める余地があると考えられました。

裸眼視力1.0未満の者のうち0.3未満の重度者が占める割合は、全ての年齢階級で増加していました。一方で、都市階級による増加のパターンについて、顕著な傾向や特徴的な違いは特にみとめられませんでした。


視力に関する調査の第2弾となる次回記事では、ドライアイと斜視の有病率の結果についてご紹介します。



参考: 文部科学省 学校保健統計調査

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