COVID-19関連連載 第3回 子どもは新型コロナ重症化しにくい?~小児における新型コロナ重症者数~
日本小児科学会が2021年2月に発表した提言「新型コロナウイルス感染症の小児重症例について」によると、小児における新型コロナウイルス感染症は比較的軽症で、多くの場合は治療を必要としないといわれてきたものの、国内において少数ながら重症化した小児がいる、と記載されています。
実際に小児の重症化ケースはどの程度発生しているのでしょうか?
小児の新型コロナ感染者の中で重症化する患者の割合について、JMDC保険者データベースより、感染拡大フェーズごとの違いや、成人との違いを見ていきたいと思います。
まずはじめに全年齢の重症者の推計患者数を見ていきます。感染拡大フェーズと照合した場合、感染拡大期には重症者数も増加していることがわかります。
次に、小児における重症者の推計患者数を見ていきます。
全体で見た場合、重症者数は多くありませんが、2021年夏の第5波付近においては、重症者の小児の数も増加しました。
全体的には、本連載の第1回でお示しした感染者数全体の増減トレンドに近い傾向がうかがえました。成人も含めた第5波のピークは2021年8月ですが、小児(0-17歳)に限った重症者は、その1か月前、2021年7月が最も多かったようです。
ただしこのグラフは、小児人口に照らし合わせた国内患者数を推計したものであり、JMDCの保険者データとして実際に重症化が確認された人数は多い月でも10名以下でしたので、正確な人数や、増減の傾向の詳細を把握するには限界があることを申し添えます。
※本レポートでは、厚生労働省の調査に合わせ、コロナウイルス感染症と診断され、①人工呼吸器使用 ②ICU等で治療 いずれかの条件に当てはまる患者を「重症者」と定義しております。
0-17歳の小児において、第1波のころはほとんど重症者はいませんでしたが、第2波からは増え始め、特に第5波前後では重症患者数も多かった模様です。
以上の結果を踏まえ、
小児は成人と比較して重症化しにくい、ということは必ずしも言えず、感染者全体が増減に対応する形で重症者数も増減する
ということがわかりました。
次回は、新型コロナ前後で増加した/減少した病気について探っていきたいと思います。
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